はじめに
本記事では、2024年1月にRed Hat 認定システム管理者 (RHCSA)に合格した際の体験記を記載します。
RHCSAとは
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) の幅広い知識が求められる試験です。
特筆すべきは、すべて実技試験で行われる点で、用意された問題(要件)に沿ってLinuxの設定を行い、採点が行われます。
どのような内容が問われるかは、Red Hatのサイトで公開されています。
筆者のバックグラウンド
RHCSAを受験した当時の筆者のバックグラウンドは以下の通りです。
- Linuxサーバの運用、保守、構築案件に4年程従事していた経験あり。(所謂運用オペレータの業務が7割)
- サーバの構築やトラブルシューティングについては、空で覚えているとは言えず、必要に応じてググりながら対応している程度の知識。
- Linux関連の資格では、他にLPIC1、2、304を保有。
勉強した内容
RHCSA試験の準備のため、主に以下2点の学習方法で準備を進めました。
- e-learning学習
- 書籍 + 仮想環境での実機学習
e-learning学習
筆者の場合は、Red Hat公式のRH199 RHCSA速習コースのリモートトレーニング形式を受講しました。
RHCSAは、Red Hat システム管理 I (RH124) とRed Hat システム管理 II (RH134)と2つのコースを受講することを推奨としています。
その中でも、RH199はRH124とRH134の重要な内容をかけ合わせた短時間のコースとなっており、効率的に学習できます。
また、リモートトレーニング形式は、受講を開始してから90日間e-learning形式の学習環境にアクセスでき、自分のペースで学習できます。
特に、学習環境にアクセスすればサーバの検証環境が瞬時に使え、90日間の期間内であれば何度も実機演習にトライできたため、大変助かりました。
ただし、受講価格が約25万円と高額なため、自腹でというよりは所属会社の補助が使える場合等、限られてくるかと思います。
筆者の場合は、ありがたいことに受講費用を会社が補助してくれたため、RH199コースを受講しております。
RHCSAのコースは他にもオンサイトトレーニングや、ライブ形式のコースもあると聞きましたが、どれも数日間連続して丸一日受講しないといけないため、業務を抜けることが難しい方は、e-learning形式がオススメです。
書籍 + 仮想環境での実機学習
書籍は以下を参照しました。
自分が所有していたのは第1版でしたが、各種Linuxコマンドの操作について、非常にわかりやすく解説されているため適宜参照しました。
また、実機検証環境として、VirtualboxやKVMにAlma Linux9を構築し、コマンドの動作を適宜確かめました。
試験に向けて意識したこと
試験に向けて、以下2点を意識して勉強しました。
- 問題に対してどのコマンドを使えば解決できそうか大枠を捉える
- コマンドの不明点をマニュアル(manコマンド)を読んで解決できるようになる
試験中はインターネット検索による調べ物はできませんが、マニュアルは確認することができます。
そのため、例えばリモートマシンにSSH公開鍵を渡したいときはssh-copy-id、ネットワーク周りを操作したいときはnmcli…といったようにサーバ構築のシチュエーションとその時何を使えばいいかを頭に入れて置き、細かいオプションは覚えられなかったらmanコマンドで補完する、というやり方で進めました。
普段の実機練習でも、コマンドの不明点が出た場合はなるべくGoogle検索は使わず、manコマンドで調べる癖をつけておけば、本番でも焦らず問題を解くことができるかと思います。(ただし、勉強の段階でどのコマンドを使えばいいか思い浮かばなかったときは素直にググります)
筆者の場合だと、これまでの案件の中では、サーバのセキュリティ対策はFWやWAF等の製品に任せることが多く、サーバ上でfirewalld(iptables)やselinuxを設定する機会がなかったので、その辺りの重点的な勉強が必要でした。
また、パーティション、LVM、ネットワーク周りの検証も何度もやることになったので、Virtualbox等で適宜スナップショットを取得し、設定変更前にいつでも戻れるようにすることで、勉強を進めました。
試験当日について
RHCSAはトレーニングセンターに赴いて受験する方法と、自宅で行うリモート試験がありますが、リモート試験を選択しました。
理由として、リモート試験であれば1回不合格となっても再挑戦できる権利が得られたためです。(筆者が受けた当時は現地試験では再挑戦の権利が得られなかったはず…)
リモート試験のやり方については、マシンの必要要件やマニュアルがyoutube等でも公開されているため、そちらをご確認頂ければと思います。
1点ハマった点として、試験環境に繋ぐ前に各種設定を行う画面があるのですが、筆者の環境だと設定を終えても試験が開始せず、試験開始時間に間に合わなくなりそうになりました。
結局、筆者の環境だと設定完了後、エンターキーを押さないと試験が開始しなかった(特にエンターを押してくれとは記載がなかったはず…)ので、試験環境への接続は十分にリハーサルをされるといいかと思います。
最後に
試験の内容を細かく記載できないため、ざっくりとした紹介となってしまいましたが、どなたかの参考になれば幸いです。
次はRHCEに挑戦する予定のため、合格後に何か発信できればと思います。